サイトーのタカラヅカ備忘録~すみれの森で迷子~

好きな「エンタメ」「面白かったこと」についての沼備忘録。演劇・宝塚・映画・本、旅行等娯楽、趣味についてと思ってはいるけど、ほぼタカラヅカ関連になるでしょう。。真面目な考察はできません!心のおもむくまま~~

原田マハ『ロマンシエ』を読んだ話ー君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだー

ごぶさたしてます~サイトーです!

いやあ3月怒涛でした~~ようやく落ち着いてきました(ホッ)

当たり前なんですが、宝塚が好きな方は他のことにも結構積極的に動かれる人が周りには多くて「パワフルですごいな~~」と思うことが多いです。

サイトーは1つのことにしか手がまわせないゴリゴリキャパ狭め野郎であるがゆえに忙しいと宝塚を観に行けないことにハンカチギリギリです。。

時間の使い方が上手な方が多いな~~見習いたい・・・!

忙しい時だからこそ気を付けていることとかあれば是非教えてください・・・(切実に土下座して教えを乞うスタイル)

 

そんなこんなで、最近はめっきり観劇できていないので、最近読んだ本の話でもつらつらしてみようかと思います!

『ロマンシエ』というタイトルとあらすじで購入を決めた

原田マハさんの『ロマンシエ』です!文庫の表紙も可愛いんだぜ・・・

           https://www.shogakukan.co.jp/thumbnail/books/09406603

みなさんご存知原田マハさんは美術に造詣が深く、今までは美術史と絡めた独自の視点での物語が多くて、その作風も好きなのですが、今回はポップできゅうんとするお話になっています。

あらすじ

 乙女な心を持つ美術系男子のラブコメディ!

 有名政治家を父に持つ遠明寺美智之輔は、子どもの頃から絵を描くことが好きな乙女な男の子。恋愛対象が同性の美智之輔は、同級生の高瀬君に憧れていたが、思いを告げることもないまま、日本の美大を卒業後、憧れのパリへ留学していた。
 ある日、アルバイト先のカフェで美智之輔は、ぼさぼさのおかっぱ髪でベース形の顔が目を惹く羽生光晴という女性と出会う。凄まじい勢いでパソコンのキーボードを打つ彼女は、偶然にも美智之輔が愛読している超人気ハードボイルド小説の作者。訳あって歴史あるリトグラフ工房idemに匿われているという。
 過去にはピカソなどの有名アーティストが作品を生み出してきたプレス機の並ぶその工房で、リトグラフの奥深さに感動した美智之輔は、光晴をサポートしつつ、リトグラフ制作を行うことになるが、ある大きな転機が訪れる。(小学館HPより)

ね???

もう読みたくなってきましたよね??

分かります・・・!!

主人公のみちのすけ(ミシェル)は、多分本当に目を引くイケメン(私の脳内補正では岡田将生)なんだろうと思わせる周りの人物からの評価ですが、心は女の子・・・自分では自分の容姿をそんなに重要だと思ってないし、イケメンと見られることに違和感や居心地の悪さを感じている子です。

お母さんにも親友にもカミングアウトは出来ておらず、男の子としての自分を意識して頑張って使い分けているみちのすけですが、今まで押し殺してきた本当の自分を見抜いて、ありのままでいいと言ってくれる人たちと出会えて、パリで自分を解きほぐしてどんどん解放させていく様子が素敵だなとホロリときました。

この子がとにかくひたむきで時に大胆で心の声が可愛くて、どんどんミシェル~~がんばれ~~ってなっていってしまう・・・!!

 

宝塚だと、彩風のさきちゃんですとか、せおっちとか、あかちゃんとかの類の「スタイルよい~~笑顔ふりまかれたら目がつぶれる~~」って言えるイケメン枠に是非やってほしいお役・・・

せおっちは眉間からの鼻筋ずっと見ていられる。本当にイケメンなのにザイケメンのことやると周りが「ちょwwwせおwww」ってなるの本当にずるい~~(お正月のパネルアタックが日々の癒しでした合掌)

 

みちのすけ君は、おしゃれで脳内で妄想コーディネートをするのですが、そこに出てくるブランドが実在のものでかなりオシャレで、文字だけだとイメージできないので調べるとまたとっても面白かったので、片手にスマホかパソコンと一緒に読むとコレ2倍3倍おもしろいよ!!!!

はい、それが言いたかった。

パリの中を移動するシーンもあるのですが、原田マハさんがかなり取材されたのだろうというくらいイメージが伝わってきます。

ここも是非パリの市内の地図とか片手において読むとこういう風に移動したんだ~と分かるように丁寧に書かれているので片手にスマホかパソコンと一緒に読むとコレ2倍3倍おもしろいよ!!!!(しつこい)

私は途中でみちのすけが作るブランケット・ド・ヴォーが急に食べたくなって思わず近所のフレンチビストロに駆け込みました(メニューになかったのは一生根に持つ・・・食べ物に関して意地汚く心が狭い女A)

https://www.parisettoi.fr/topics/331/(美味しそう・・・)

 

リトグラフって・・・?

あらすじの中にも出てきたこの物語において非常に大きな意味をもつことになる「リトグラフ」ご存知ですか?

サイトーは知りませんでした(お恥ずかしや)

めっちゃ美しく流れるように文字を書くやつかと、あらすじ読んでもずっと思ってたんよ。。。(それはカリグラフ)

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こういうやつがカリグラフな・・・

途中で、おや・・・?誰も文字を書いていないぞ・・・?絵なの・・・?絵でもないの・・・?

という知識不足により物語を楽しめないかもしれないターンが来たので、これもスマホで調べましたところ、カリグラフではないようなんですね~~(知ってる)

リトグラフとは?
 平らな石の上に描画(現在では金属板等も使用)し、印刷する版画

平らな版面の上に描き、平らな版面のまま印刷する。

木版画のように版面を彫ったりはしません。

仕組みは、平らな版面の上に油性分を含んだ描画材料で描画し、描画終了後、薬品を塗ります。

そうする事により、油性分を含んだ部分(描画部)は油性分とくっつきやすくなり、描画されていない部分は水分を保存しやすい状態になります。版面に水を含ませながら、油性分を含んだインクを版面にのせると、描画した部分は、インクの油性分と描画部分がくっつき合うことでインクがのり、描画されていない部分は版面に水の膜が出来、油性分をはじいてインクが乗らないようになります。描画部分にインクがのった所で、版面の上に紙を置き、プレス機で圧をかけて印刷します。

リトグラフは、水と油の反発する性質を利用する化学的な版画といえます。

 美術的センスのないサイトーにはこの説明を聞いてもよく分からなかったのですが、版面に直接描いた絵を、ほぼそのまま紙に刷り取れるのが特徴のようです。

 

なーんだ!つまりは印刷じゃん!と思っていたら、

 作家の構想(コンセプト)を工房が経験や技術を活かして再現できたなら、作家のオリジナル性がその作品に顕れていると言えるでしょう。

単に手法や技法としてではなく、リトグラフには、「印刷物」ではなく「作品」という意味があります。
リトグラフは、作家と工房の二人三脚で作品を作り上げるものであり、「手作業の印刷」という以上の付加価値があるものです。アルト工房のリトグラフは、「作家の作品に込めたコンセプトや意志を再現した、リトグラフ」を目指しています。

 という「ちげーわ!芸術作品だわ!」という声が聞こえてきそうな記事があったので引用。

 

原田マハさんもリトグラフをコピー版ではなく、作家の1つの芸術的表現の技法として捉えていてそれが無知なサイトーにもよく伝わってきました。

リトグラフ奥が深い・・・

物語を通じて自分が触れ合ってこなかった知識や世界と触れ合えるのは大人になっても本当にワクワクするものだな~と思わせられました。

 

そんなみちのすけ君がパリでであるリトグラフを縦軸に、みちのすけ君の想い人である高瀬くんとの恋を応援したり、みちのすけ君が大ファンの作家の先生との出会いとやりとりにハラハラドキドキしたりする横軸に

織り成す応援歌がロマンシエ!!!

 

ちなみにこの高瀬クンは、俳優さんだったら竹内涼真くんのようなザ★爽やか好青年!にぜひ・・・!!!

宝塚なら、、、みちのすけの好意には気づかないけど本当に爽やか好青年なので、マイティ・たま様・おだちんなどザ・男子枠の天然好青年にやっていただければ本望です♥♥♥笑

 

残り50ページから切なさが加速するという帯は伊達ではなかった・・・

 

すごい!小説とリアルがクロスする・・・!?

私がこれ手に取ったのは、文庫になってからなのですが、読み進めていくうちにやけに固有名詞が多いなって思ったのですね。

時代を経ても古臭くならないように、必要最低限の固有名詞しか使わないとか、ほのめかす程度で違う人の名前を使うとかはよくあると思うのですが、本書ではもうゴリゴリ出てきます!

それが面白いところでもあったのですが、原田マハさんは意図して書かれたということが後々にわかりました。

 

なんと、本に出てくる最後の場面が、実際にその場所に行くと行われている実際のイベントだったのです!!!(発売日を調整して日時まで一致させるという緻密さ!)

ハルさんが、ムギさんが、ミシェルがもしかしたらその柱からひょっこり出てくるんじゃないか・・・と思ってしまいますよね!ずるい!!

 

前職の美術館のキュレーターという技術を如何なく発揮して、自分で小説と展覧会をリンクさせてしまったマハさん恐るべし・・・!!

これリアルタイムで読んでクロスを体感できた方々が本当にうらやましい・・・!!

もう1回やってくれないかな~~~

 

作家だからって展覧会開いてはいけないという決まりでもあるの?ないでしょ?という声が聞こえてきそうなくらい、『原田マハ』にしかできない試みが詰まった本なんだと思います。

 

ぜひ気になるわ~という方、お手に取って読んでみてください!(本屋の回し者じゃないよ!!)

 

読了したので、次は同じ原田マハさんの本でも読み漁ろうと思います。